白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「まあ。」

お母さんは自分で言ったくせに、驚いている。わざと?

「彼女、美玖さんの初恋に選んで頂いた事、むしろ光栄に思います。」

「あらあ!」

お母さんは私と悠真先生を、交互に見てニヤニヤしている。

しかも悠真先生、そんなお母さんを他所に、私の傍に来る。

「指が動くようになったら、リハビリをしよう。」

「はい。」

「食事、ちゃんと摂った?」

「もう、子供じゃないんだから。」

そういう私に、お母さんはクスクス笑う。

「じゃあね、美玖。お母さん、帰るわよ。」

「はーい。気を付けてね。」

私はお母さんに、手をヒラヒラ振った。

「悠真先生、美玖をお願いしますね。」

「はい、任せてください。」

悠真先生の言葉に、お母さんはうふふと笑う。
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