白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「君は今からピアニストとしての人生を送るんだ。もう止まれないんだよ。」

遠藤さんは、私の肩をそっと撫でた。

「ここで“ピアニスト辞める”なんて、絶対に言うなよ。あんたはまだ、俺たちの希望だ。」

その言葉がやけに重くのしかかった。

「分かってます。」

私がデビューするまでに、遠藤さんはスタジオを貸し切り、最高級のピアノを用意してくれた。

ドレスも、遠藤さんのプロダクションが用意したもの。

そして、この入院費も。遠藤さん達が出してくれている。

私はここで、遠藤さんを裏切ることはできない。

「焦らないで。復帰コンサートは来年だから。」

「来年?」

「そう。それまでには戻ってるでしょ?」

私は言いようのないプレッシャーを感じた。
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