白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
それから回診の時も、悠真先生とは必要以上話さず、日中はリハビリに集中するという毎日。

もちろん、ロールピアノでも何度も練習する。

だが、あんなに簡単に弾けた曲が、今は指が追い付かない。

何度練習しても一緒。

同じところでつまづく。

「何だか今日は、荒れてるわね。」

お母さんが洗濯物を持って、やってきた。

「なに?練習が上手くいかないの?」

そう言うとお母さんは、ポンポンと手を叩き始める。

「ほら、お母さんが手拍子してあげるから。」

メトロノームが家になかった頃、お母さんはいつもこうして、リズムを刻んでくれた。

それを思い出しながら、ピアノを弾き続ける。

でもやっぱり同じところで、音がズレた。

手を止めた瞬間、お母さんが何かに気づく。

「ねえ、美玖。そこっていつも音外してたところ?」

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