白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
確かに全部の命は救えない。

それと同じように、全部の人生も救えない。

そうだとしても、俺には救いたいものがあった。

裏口に向かって歩いていると、宿直室の陰に見慣れた人影を見つけた。

美玖だった。

俺はわざと彼女の横で立ち止まった。

「おや。ここには患者さんはいないはずなんだけどな。」

「……会いたくて、仕方なかったんだもの。」

その言葉に俺の心が躍った。

彼女を連れて、薄暗い廊下のベンチに座った。

「ジュース飲む?」

「うん。飲む。」

俺はポケットから財布を取り出すと、彼女の分と自分の分のジュースを、自販機で買った。

「はい、お嬢さん。」

「ありがとう。」

蓋を開けると、美玖は勢いよくジュースを飲んだ。
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