白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―

第9章 Adagio ―祈りの再会

そして私は、家の近くにあるリハビリ施設へと移動した。

「作業療法士の坂井です。宜しくお願いします。」

そこには私よりも、少し年上の人がいた。

「天音美玖さん。えっ?天音さんって、あの天音さん?」

私はなんて答えたらいいのか分からず、はいとだけ返事をした。

「俺もピアノ、習ってたんです。」

「そうなんですか。」

「いやあ、コンクールで賞を総なめした天音さんに出会えるなんて、嬉しいな。」

なんだか首の後ろがくすぐったかった。

「そんな事言って貰えると、こちらこそ嬉しいです。」

あははと、坂井さんは笑うとカルテを見る。

「脳腫瘍ですか。大変でしたね。」

「ええ、まあ。」

「病院は?奏ヶ丘医科大学附属病院。あそこ?」


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