白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
坂井さんは、気さくに話しかけてくれた。

なんか先生って言うよりも、友達みたいだ。

「確か脳外科の有名な先生、いたでしょ。」

「……渡部悠真先生?」

「そうそう、渡部先生。ゴットハンドみたいな人。」

私はちょっとその先生の言い方に、嬉しさを覚えた。

「私、渡部先生が担当医だったんです。」

「そうなの?ラッキーだったじゃん。」

坂井先生は、ニコニコ顔で言った。

「人気の先生だから、なかなか担当医にならないんだよ。すごいよね、オペして貰うのに半年待ちとか。」

「半年……はあ。」

「それでもオペして貰えるだけまだマシだって。半年以上は病状が悪化するから、他の医師に回されるんだって。」

おかしい。私は救急で入って、そのまま担当医になったけれど。
< 242 / 298 >

この作品をシェア

pagetop