白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
そして悠真先生は、リハビリ施設にも顔を出しているらしい。

「昨日も彼氏さん。美玖ちゃんはいませんか?って来たよ。」

坂井先生はリハビリの間に、コミュニケーションをとる人だと知った。

「リハビリの時間、教えてないの?」

「言っても、仕方ないので。」

「でもさ。彼女が今どこにいるのか分からないって、男にとっては苦痛だよ?」

そう言って坂井先生は、カルテにリハビリの状況を書いていく。

「いいんです。会いたくないので。」

「倦怠期?」

「そんなんじゃないです。」

坂井先生が、チラッと私を見る。

「別れたいの?」

「その方向で。」

そう言うと坂井先生は、ポリポリと頭を掻いた。

「その方がいいと思うよ。脳外科医は、プライベートがあってないようなものだから。」
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