白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―

第10章 Adagio sostenuto ― 永遠を奏でて

翌朝。俺の寝室のベッドの中。

美玖は俺の腕の中で、目を覚ました。

「おはよう、美玖。」

「おはよう……悠真、さん。」

先生が取れた美玖は、また俺に一歩近づいてくれたんだと思う。

愛おしさがこみ上げて、彼女の頬に唇を寄せた。

「朝に、なっちゃった。」

美玖は困った顔をして、顔を腕で隠した。

「朝帰りとか、したことないの?」

「うち、お父さんが厳しくて。どんなに遅くなっても、その日のうちに帰って来なさいっていう人なの。」

俺はまずいと思った。

今日は日曜日。絶対お父さん、家にいるじゃん。

「お父さんに怒られちゃうね。」

「うん。ああ、やだな。私もう大人なのに。」

でも俺は、それを聞いて逆に守りたいと思った。

お父さんにそこまで大切にされている美玖を、俺も守りたいと。
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