白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「私、遠藤さんにね。もう、コンサートはできませんって言ったの。」

美玖のその表情は、諦めでもなく悲しみでもなかった。

「でも遠藤さん。直ぐの復帰じゃなくていいって。小さなコンサートから初めてみようって、言ってくれたの。」

俺の中での遠藤さんは、現実主義っぽいイメージだったのにな。

人は見た目じゃ分からないって、本当だな。

「今まで応援してくれた人の為にも、私頑張る。」

「ああ、応援しているよ。」

そして美玖は、そこでクスっと笑った。

「ねえ、コンサートの会場。どこだと思う?」

「さあ。もしかしてどこかの施設?」

ホールじゃないとしたら、老人ホームとか子供の保育園とか、駅前のコミュニティスペースとか、そんなのしか思い浮かばない。
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