白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
そして美玖への想いは、思わぬとこへも波及した。

この日は美玖のリハビリの日で、終わる時間に美玖を迎えに行った時だ。

「ああ、彼氏さん。来ましたね。」

作業療法士の坂井さんが、美玖に声を掛けてくれた。

それが彼の機転の利くところだと思っていた。

「どうも。いつも美玖がお世話になっています。」

自分では何気ない挨拶だと思っていた。

でもこの時は、じーっと彼に見つめられた。

「彼氏さん、よく迎えに来る時間ありますね。」

ちょっと牽制されてる?何?俺、嫌われてる?

「ええ。頑張って会う時間作ってるんで。」

定時で仕事が終わる時は、定時で上がる。

休みの日も、なるべく日中に用事を済ませ、夕方からの時間は美玖に使う。


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