白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「あ、そうですか。努力の結果ですか。」

「はあ。」

すると坂井さんは、俺をチラッと見た。

「医師なんて、女遊びの激しい人ばかりだと思ってましたよ。」

なんで君がそれを言う?

「まあ、そういう人もいるでしょうね。」

受け流したつもりなのに、逆に睨まれた。

「俺、美玖ちゃんの事。好きです。」

「えっ!」

なんだ、その爆弾発言。

美玖はその事、知ってるのか!

「美玖ちゃんを不幸にするなら、俺が彼女を幸せにしますから。」

坂井さんの真剣な言葉に、俺は真剣に返した。

「その時は、俺がまた彼女を奪いに来ます。」

そうだ。例え美玖が俺から離れようとしても、俺は何度だって美玖を口説く。

「彼女が最後に選ぶ男は、俺だって信じているから。」

その時美玖が、トイレから帰って来た。
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