白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
なんて、恍惚な音なのだろう。

ピアノの音が無くても、彼女の音楽は確かにそこにあった。

しばらくして歌い終わった彼女が、誰もいないと思っている病室に頭を下げる。

そう、自分のステージを聞いてくれたお客さんが、そこにいるように。

だから俺も、彼女のステージを見に来た客のように、拍手をした。

「ブラボー。」

「先生ッ!」

彼女の顔が赤くなっていく。

「いつから、聞いていたんですか?」

「途中からね。」

俺はそう言って、彼女のベッドサイドにある椅子に座った。

「何を弾いていたの?俺の知ってる曲?」

彼女はふふふと笑うと、何も答えなかった。

白い肌に、艶のある黒髪のストレート。

彼女の美しさを物語っているようだった。

俺はふと、彼女の指に目を向けた。

爪は綺麗に短く整えられ、微かにコーティングされていた。

「天音さんは、ネイルはしないんですか?」
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