白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
それが俺の心を安心へと導いてくれた。

「ああ、里奈。俺を受け入れて……」

思わず言葉が漏れた。

彼女に。誰でもない彼女に、俺は受け入れて欲しかった。

「もちろんよ……」

その瞬間、俺の欲情が彼女の中を満たしたのが分かった。

「あ……」

感じてる。俺の欲情を、彼女が奥で。

「はぁはぁ……」

ぐったりしている俺を里奈先生は、ぎゅっと抱きしめると俺の頬にキスしてくれた。

本当は俺が、里奈先生を抱きしめなきゃいけないのに。

何にも考えられなかった。

ただ里奈先生の温もりが、どうしようもなく俺を包みこんでくれる。

そっと離れると、俺は彼女の傍に寝転んだ。

「ありがとう。」

自然にそんな言葉が出た。

「俺、里奈を満足させられた?」

「……うん。」

彼女は俺の胸元に顔を埋めた。

「……今夜、泊まって行って。」

うんと頷くと、久しぶりの温もりに酔ってる気がした。
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