白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「里奈。俺……」

「いいのよ。」

彼女はそう呟いた。

「いいの。今はただ、私を抱いた余韻に浸って。」

彼女の言葉が胸を突いた。

俺、里奈が求める時に、側にいれないかもしれない。

でも、里奈の温もりが欲しいって、言いたかった。

勝手な言い分を、彼女は分かっていたのかな。

その時だった。

リビングの方で、けたたましい着信音が鳴った。

俺は目を開けると、ガバッと起き上がった。

慌てて下着を履いて、寝室を後にする。

「どうしたの?」

里奈も起き上がって、シャツ一枚でリビングに来た。

「オンコールだ。はい、渡部です。」

『あっ、渡部先生。救急です。頭部外傷。出血性ショックの疑いの患者さんが、運ばれてきて……』

「他の先生は、誰が?」

『それが救急搬送の患者さんがいて、もう一人の宿直も病棟に呼ばれてしまって……』

「今、行きます。」


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