白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
そこには「10」と書いてあった。

意外と待つんだなと思った矢先だった。

「天音美玖さん。」

直ぐに名前を呼ばれ、MRI室の中に入る。

やる事は一緒。ベッドに寝て、機械の中を通るだけだ。

「はい、終わりましたよ。」

「はーい。」

起き上がるとベッドから降りる。

「次の検査は……ないですね。お疲れさまでした。」

技師の人は検査表を差し出すと、ペコっと一礼をした。

「ありがとうございます。」

それだけ言って、私はMRI室を出た。

さてと。こんなに早く終わったんだもの。

どこか立ち寄ったとしても、時間がかかったのねで許して貰えるよね。

私は目の前の廊下を、キョロキョロ見まわしながら、歩き始めた。

すぐそこには、正面玄関入り口。

何気なく知らない振りをして、通り過ぎる。

そして見つけた。宿直室は案外建物の端に、そっとあった。
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