白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
先生はナースステーションの中で、頭を下げて謝っている。

そこに黒川先生がやってきた。

「オンコールで、頭部外傷のオペしたんでしょ。仕方ないよ。」

「いえ、それでも朝の回診に間に合わなかったのは、ミスです。」

先生、そこまでして仕事に真面目だなんて。

「そう言えば、泣いてたって本当?」

「それは……」

「何があったか分からないけど、十分休んだ方がいいんじゃない?」

黒川先生が渡部先生を、追い詰める。

まるで先生が医師失格みたいに。

私はナースステーションの中に飛び込んだ。

「あの、黒川先生。」

呼びかけると、渡部先生と黒川先生が同時に振り返った。

「渡部先生が泣いていたのは、私のせいです。」

「はあ?」

渡部先生が、表情を歪ませる。

「私が昨日の夜。先生を呼び出して、泣きながら死にたくないって言ったらから。」

黒川先生が、私の元へくる。
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