白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
病室に着くと、先生はベッドの布団をめくってくれた。

なんだか、私の使用人みたい。

「気分は?指の痺れはどう?」

「ああ、今日は大丈夫。指の痺れも気にならない。」

そう言って布団の中に入ると、先生を見つめた。

「MRI受けた?」

「受けた。さっき。」

「だったら結果が分かり次第、今後の方針を決めていこう。」

私は不思議に思った。

今までずっと手術しかないって、そればかり言っていたのに。

「ごめんね。まだ手術受ける勇気がなくて。」

そう言うと先生は、近くの椅子に座った。

「勇気が必要なら、俺があげますよ。」

胸がドクんとなった。

きっと先生は、私じゃない患者さんにも、同じ言葉を言うのだろう。

「君なら、乗り越えられるよ。だって、手術後にも君には未来があるんだから。」

何でもない言葉。

でも私には、これ以上の言葉はなかった。

「何よりも、俺がいる。一人じゃないから。」
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