白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
心が満たされていくのが分かった。

静かに先生を見つめる。

言葉はなく、ただお互いの目を見つめた。

「先生、お願いがあるの。」

「なに?」

「私を抱きしめて。」

先生は私を見つめるだけ。

分かってる。黙っているという事は、できないって否定の言葉。

「うそ。信じてどうするの?」

私が背中を見せると、先生の腕がそっと私を後ろから包んだ。

「これでいい?」

背中に聞こえる先生の心臓の音。

その音は嫌になるくらい、規則正しくて。

「先生の心臓……メトロノームみたい。」

「メトロノーム?」

「メトロノームってね、音楽の“心臓”みたいなものなの。ピアノ練習では、心拍のように正確なリズムを教えてくれる存在よ。」

「へえ。心拍のように。」

まだ先生の心臓が、トクントクンとなっているのが聞こえる。

「通常の心拍数は、60~70だけど音楽では何て言うの?」


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