白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
翌朝、目が覚めると私の体にはモニターが着けられていた。

「おはようございます。ご気分はいかがですか。」

看護師さんが、顔を覗き込む。

「はい、何ともないです。」

見ると腕にはまだ点滴が繋がれていた。

「渡部先生。天音さん、目を覚ましましたよ。」

看護師に言われ振り向いたその人は、昨日の夜私を受け入れてくれた医師だった。

「天音さん。昨日の事覚えています?」

「えっと……コンサートで倒れて、病院に運ばれて……CT撮って……」

「そこまで覚えてるなら、大丈夫ですね。」

医師はクスっと笑った。

「渡部悠真です。天音さんの担当になりました。」

「宜しくお願いします。」

私が頭を下げる振りをすると、渡部先生は微笑んでくれた。

「今、体調が安定しているみたいですから、MRI撮りましょう。」

「はい。」

そう返事をすると先生は、行ってしまった。
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