白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
私はうんと頷くと、先生に背中を向けた。

先生に会いに来てはダメ。

先生は、私の為に練習しているんだから。

涙が頬を伝った。その時だった。

「美玖。」

低い声が私の耳元に囁いた。

「俺が会いに行くから。」

息が止まりそうになった。

「練習終わったら、美玖に会いに行く。」

私はくるっと振り返って、先生に抱き着いた。

「きっとだよ。約束だよ。」

「ああ。」

先生を見つめると、先生も私を見つめていた。

「もっと、名前呼んで。」

「美玖……美玖。」

心が震えそうになった。

「私、心臓が止まりそう。」

先生がふふっと笑う。

「止まるもんか。美玖の心臓、強く動いている。」

そしてその瞬間、先生の唇が私の唇に重なった。

柔らかい。何度も重なるキス。

声が漏れそう。感じてしまう。

それに気づいたのか、先生は唇を離して、小さく息を吐いた。

「誰にも言わないで。」



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