白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
先生の目がやけに熱を帯びていた。

「二人だけの、秘密だよ。」

私はうんと小さく頷いた。


翌日、遠藤さんがロールピアノを持って来てくれた。

「ええ?本当にいいの?」

「練習しないと、指がなまるだろ。」

USBで線を繋ぐと、小さいけれど音が鳴った。

「これならうるさくもないしね。」

遠藤さんはウキウキしていた。

まるで私の復帰を楽しんでいるかのようだった。

「手術が終わったら、直ぐにリハビリしてよ。」

「分かってます。」

「弾けるようになったら、直ぐにデビューコンサート、やり直しだ。」

私は一瞬固まった。

「……もうそれ決まってるんですか。」

「内密にだけどね。」

もう復帰コンサートが決まっている。

私は、ピアニストを辞める事ができない。

「もし、指が動かないとしたら?」

「えっ?そんな事あるの?」

遠藤さんは私の復帰を、信じて疑わないようだ。
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