白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
どうやら先生は、私の事を問題のある患者だと思ったらしい。

「分かってます。大人しくしています。」

看護師さんはクスクス笑っている。

「では行きましょうか。」

車椅子が動き出して、私は集中治療室から運び出される。

そして気づく。服が病衣に変わってるいることを。

「あの、昨夜のドレスは。」

「ああ、着替えた時に袋に入れておきましたよ。」

よかった。壊れてないんだ。あのドレス、結構高かったんだよね。

そしてエレベーターで地下に行くと、MRI室が見えてきた。

「ええ、天音美玖さんですね。」

「はい。」

車椅子を降りて、ベッドに寝かしつけられる。

「頭のMRIを撮りますね。」

ただ寝ているだけだと思っていたけれど、圧迫感があって心がざわつく。

「はい、終わりましたからね。」

私は思い切って、技師の人に聞いてみた。

「私、脳が悪いんですか?」
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