白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「ふぁ……」

私の胸元の先を、先生の指がトントンと叩く。

「あぁ……」

「甘い声……その声が俺には、音楽に聞こえるよ。」

先生に触れられている。

恋しい先生の手が、私の肌を捉えて離さない。

そして先生が、医療用のシャツに手を掛けた。

そこには、お腹から見える筋肉質な体が、私の目に入って来た。

ドキドキする。

「先生……」

私はその見え隠れする先生の肌に、手を添えた。

その瞬間、先生はシャツを元に戻した。

「えっ?どうしたの?」

先生はうつ向いている。

「ごめん、美玖。今は君を抱けない。」

裏切られた気分だった。

「どうして?愛してくれるんじゃなかったの?」

「君を簡単に奪いたくない。」

そう言うと先生は、ベッドから這い出た。

「待って。」

すると先生は、私の開けた胸元のボタンを一つ一つ留めていく。

「美玖。君を大切にしたいんだ。」

それは先生の心の叫びだったのかもしれない。
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