白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
俺は次に三島さんのカルテを見た。

最近の彼女のカルテには、俺の事は記載されていない。

俺は近くにいた看護師の石田さんに、声を掛けた。

「三島さん、最近俺の事を言わなくなったんですか?」

すると石田さんは、眉をぴくッとあげる。

「なんですか。寂しいんですか。」

「いや、一時期泣いてたとか書いてあったんで、どうしたのかなと。」

石田さんは、俺の顔を覗き込んだ。

「吹っ切れたんでしょ。先生への想いを。」

「はあ。」

それはどういう意味なのだろう。吹っ切れた?なんだそれ。

「全く。だから女心が分からないって言われるんですよ。」

石田さんは俺を睨んで、行ってしまった。

その代わり、篠田先生が笑いを堪えている。

「女にモテる渡部先生が、女心を知らない。うははは。」

篠田先生の笑ってる様を見て、なんだか俺までおかしくなってきた。

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