深夜2時、コンビニにて。
「俺、星海秋都(ほしみ あきと)って言います」

「……え?」

「大学4年です。東条大の経済。春からは大手に内定してます」

「えっ……え?」

え、何事…?
なんで急に自己紹介?
てか、東条とか賢いな……
というか、なんで就活報告……
ていうか、誰?

「将来、有望です。」

「えっ?」

いや、だから、知らんって。何よ、そのアピール。

と、思ったのも束の間。

「お姉さんのこと、ずっと好きでした」

「…………え?」

その告白で、一気に真っ白になった。

「毎週、火曜と金曜の夕方、ここに来るでしょ? 多分会社帰り。
缶コーヒーと、チョコ系のスイーツ。
ワクワク顔で買ってるの見たときから、可愛くて、ずっと素敵だなって思ってました」

「………………」

「いつもは深夜シフトじゃないんですけど、今日は他のスタッフが休みでたまたま。ラッキーでした。
日頃から声をかけるタイミング狙ってたんです。そしたら、ちょうどフラれたって聞いて――
……チャンス、きたなって思いました」
 
「えっ、え……?」

「まずは、お友達からでいいです。
でもいつか、俺のこと“彼氏”って呼んでほしいです」

その目は、まっすぐで。
冗談じゃなく、真剣で。

思わず口をあんぐり。

さっきまで「クソ男ムカつく!!」って怒りで満ちてたのに。
今は、なぜか心臓の音のほうがうるさい。

けど、こちとらフラれたばっか。
返事とか、その他諸々、まだ考える余裕もなく。

「……あ……えっと……レジ、まだ途中ですよね?」

おずおずとそう言ってしまっていた。
 
「あっ、はい。そうでした。
お会計、1,982円です。」

「あっ、じゃあ2000円で……」

「はい。お釣り、18円と――あと、俺の連絡先、レシートの裏に書いときますね」

「……っ。なにその、スマートなナチュラル営業……!」

その抜かりなさに思わず吹き出すと、彼はまた、あのキラッキラな笑顔を見せた。

買い込んだ"現実逃避セット"を片手に外に出ると、夜風が頬を撫でる。
さっきまではただ冷たかった空気が、
今はほんの少し、甘く感じた。

――深夜2時、コンビニにて。
人生、何が起こるかわからない。
 
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