君を守る契約
もう、周りから攻めるしかない。
ずっと悩んでいた。脳裏にいつも浮かんでくるのは幸也くんのことだ。俺たちの間には彼しか繋がっている人はいない。でももし彼にも着信をブロックされていたらと思うと不安が襲いかかり決心がつかなかった。
でももう俺は彼しか頼れる人はいない。
彼ならきっと琴音のことを知っているだろう。
琴音がどんな覚悟で決断したのか、その一端くらいは、わかるはずだ。
そう考えるともう迷いはなかった。
俺はその場でスマートフォンを取り出し、連絡先を探した。
呼び出し音が鳴り、数秒後に繋がる。
『……松永さん?』
警戒した声音。当然だろう。俺はもう“夫”じゃない。
「突然すまない。どうしても、話がしたい」
『姉ちゃんのことなら……俺は知らないです』
想定内の答えだった。それでも、胸が締めつけられる。
「それでもいい」
はっきり言った。
「俺は、琴音を大切に思っている。契約だからじゃない。今もだ」
一瞬、沈黙が落ちた。
「離婚届を置いて出て行かれた。理由も、行き先もわからない。でも……終わりだとは思っていない」
電話の向こうで、小さく息を吸う音がした。
『……松永さん』
幸也くんの声は、以前よりずっと落ち着いていた。
『姉ちゃんはひとりでなんでも我慢して抱え込んで、それは松永さんも知ってると思います。そんな姉ちゃんが覚悟を決めたことなので俺からは何も言えないです』
「一度でいい。幸也くん、直接会って話してくれ。俺は逃げない。何を言われても受け止める」
俺は必死で食い下がった。長い沈黙のあと、ようやく返ってきた言葉。
『……わかりました』
胸の奥で、何かが崩れ落ちる音がした。
ずっと悩んでいた。脳裏にいつも浮かんでくるのは幸也くんのことだ。俺たちの間には彼しか繋がっている人はいない。でももし彼にも着信をブロックされていたらと思うと不安が襲いかかり決心がつかなかった。
でももう俺は彼しか頼れる人はいない。
彼ならきっと琴音のことを知っているだろう。
琴音がどんな覚悟で決断したのか、その一端くらいは、わかるはずだ。
そう考えるともう迷いはなかった。
俺はその場でスマートフォンを取り出し、連絡先を探した。
呼び出し音が鳴り、数秒後に繋がる。
『……松永さん?』
警戒した声音。当然だろう。俺はもう“夫”じゃない。
「突然すまない。どうしても、話がしたい」
『姉ちゃんのことなら……俺は知らないです』
想定内の答えだった。それでも、胸が締めつけられる。
「それでもいい」
はっきり言った。
「俺は、琴音を大切に思っている。契約だからじゃない。今もだ」
一瞬、沈黙が落ちた。
「離婚届を置いて出て行かれた。理由も、行き先もわからない。でも……終わりだとは思っていない」
電話の向こうで、小さく息を吸う音がした。
『……松永さん』
幸也くんの声は、以前よりずっと落ち着いていた。
『姉ちゃんはひとりでなんでも我慢して抱え込んで、それは松永さんも知ってると思います。そんな姉ちゃんが覚悟を決めたことなので俺からは何も言えないです』
「一度でいい。幸也くん、直接会って話してくれ。俺は逃げない。何を言われても受け止める」
俺は必死で食い下がった。長い沈黙のあと、ようやく返ってきた言葉。
『……わかりました』
胸の奥で、何かが崩れ落ちる音がした。