君を守る契約
宗介さんは赤ちゃんを見て言葉を失ったようにその小さなあ顔を見つめていた。そして震える指でそっと赤ちゃんの頬に触れた。

「あったかいな」

それだけ喉を詰まらせた。そしてしばらく見つめていたが、

「琴音、ありがとう。この子をひとりで守らせてごめん」

私は首を振る。

「宗介さんの子だからどうしても産みたかったの」

そう言ったら彼の手が私の手を握り返した。

「ありがとう。こんなに幸せな気持ちを俺にくれて」

胸の上にいる赤ちゃんが私たちの子供だなんて信じられない。でもこの神秘にふたりで立ち会うことができたのは奇跡だと思った。

「これからは俺が守る。俺がふたりを守り続ける」

その彼の言葉が胸の奥に深く入り込んできた。
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