君を守る契約
幸也が風呂場に入る音がして、ドアの向こうからシャワーの音が響き始めた。
私はそっとリビングの照明を落とし、ソファの端に毛布を敷いた。
こっそり寝てしまえば、きっと何も気づかれずに済む——そう思っていたのに。
「琴音、何してるの?」
振り返ると、宗介さんが寝室のドアの前に立っていた。風呂上がりのスウェット姿でタオルで髪を拭きながら、疲れているはずなのにそんなそぶりも見せない。
「あ、あの……ここで寝ようかと。幸也がいるので」
「リビングで? 幸也くんに見られたらどう思うと思う? “夫婦なのに別々に寝てる”って、絶対に不自然だ」
「で、でも……」
宗介さんは少しだけ息を吐いて、歩み寄る。
「心配しなくていい。何もしないからこっちのベッドで寝て。広いし、俺は端で寝るから」
その言葉に、胸が跳ねた。どうしてそんなに自然に言えるの? 平然とした声なのに、妙に心がざわつく。
「でも……」
「琴音、もう夜中だ。風邪ひくぞ」
静かな声に押されるように、私は小さく頷いた。手にしていた毛布を持つと彼の後ろについていく。ドアを開けると、間接照明の柔らかい光がベッドを包んでいた。
宗介さんが「こっち側で寝るから」と言って左側に枕を整える。私は右側の端に腰を下ろし、毛布を胸まで引き上げた。
すると彼はクスッと笑いながらベッドのサイズと同じ大きな掛け布団を私にもかけてくれた。
部屋の中には幸也の使うバスルームの音と宗介さんの静かな呼吸だけが響いている。
隣に彼が横になっていると思えば思うほどに鼓動が高鳴る。ほんの少し手を伸ばしただけで触れてしまう距離にいる彼。布団から伝わる彼の温もりと彼の匂いに胸は高鳴るのに、なぜかふと穏やかな気持ちにもなれる不思議な感覚。私は安心感に包まれるようにスッと眠りに落ちた。
私はそっとリビングの照明を落とし、ソファの端に毛布を敷いた。
こっそり寝てしまえば、きっと何も気づかれずに済む——そう思っていたのに。
「琴音、何してるの?」
振り返ると、宗介さんが寝室のドアの前に立っていた。風呂上がりのスウェット姿でタオルで髪を拭きながら、疲れているはずなのにそんなそぶりも見せない。
「あ、あの……ここで寝ようかと。幸也がいるので」
「リビングで? 幸也くんに見られたらどう思うと思う? “夫婦なのに別々に寝てる”って、絶対に不自然だ」
「で、でも……」
宗介さんは少しだけ息を吐いて、歩み寄る。
「心配しなくていい。何もしないからこっちのベッドで寝て。広いし、俺は端で寝るから」
その言葉に、胸が跳ねた。どうしてそんなに自然に言えるの? 平然とした声なのに、妙に心がざわつく。
「でも……」
「琴音、もう夜中だ。風邪ひくぞ」
静かな声に押されるように、私は小さく頷いた。手にしていた毛布を持つと彼の後ろについていく。ドアを開けると、間接照明の柔らかい光がベッドを包んでいた。
宗介さんが「こっち側で寝るから」と言って左側に枕を整える。私は右側の端に腰を下ろし、毛布を胸まで引き上げた。
すると彼はクスッと笑いながらベッドのサイズと同じ大きな掛け布団を私にもかけてくれた。
部屋の中には幸也の使うバスルームの音と宗介さんの静かな呼吸だけが響いている。
隣に彼が横になっていると思えば思うほどに鼓動が高鳴る。ほんの少し手を伸ばしただけで触れてしまう距離にいる彼。布団から伝わる彼の温もりと彼の匂いに胸は高鳴るのに、なぜかふと穏やかな気持ちにもなれる不思議な感覚。私は安心感に包まれるようにスッと眠りに落ちた。