君を守る契約
寝室の前で自然とふっと視線が重なる。
今日は……どうする?と言葉にしなくてもそう聞かれたようなきがした。
でも昨日とは違う。今日はそっと確認をするような空気があった。
私たちはベッドに入り、照明を落とすと緊張した沈黙が流れる。そんな中、宗介さんが小さな声で私の名前を呼んだ。

「琴音」

「……はい」

「辛かったら言ってくれ。無理はさせたくないんだ」

それは昨日の続きをしてもいいか、ということなのだろうか?それとも先ほど口から出てしまった契約についてなのだろうか。どちらにいても彼は私に無理強いをしないという気遣いが暖かくて涙が出そうになった。彼が無理強いしないなんて最初からわかっている。それでも昨日のことも契約のことも気にしてくれているのだと思うと先ほど背筋が冷えたのが嘘のようにまた胸の奥が温かくなった。


「無理していることなんて何もないです。でも、ありがとうございます」

「それなら……」

シーツがわずかに揺れ、そっと私の指先に彼の指が触れたのがわかった。

「手を……繋いでもいいか?」

私がコクリと頷くと彼は少しだけ手を伸ばし、触れ合っていた手が絡められた。そして彼の体もほんの少し私の方に近づき、先ほどよりも温もりを感じた。

「こうしていると落ち着くよ」

宗介さんの声に私もまたコクリと頷き、「私も」と小さな声で返した。

「昨日のこと……後悔していないか?」

その問いは真剣で、でもどこか戸惑うような声だった。

「……後悔なんてしていません」

小さいけれどはっきりとした声でそう答えた。それは私の本心だから。でもその言葉に暗闇の中で彼が小さく息をついた。

「よかった」

昨日で変わってしまった関係をお互いに意識していたが、この先はわからない。でもこの繋がれた手の温かさは本物だ。緊張していたはずなのにいつの間にやら私は穏やかな気持ちで眠りについた。
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