用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
「あの……」
「あ、申し訳ございません。お話しを中断する無礼をお許しください。ほかの方のご迷惑になるので、場所を変えてお話を聞かせていただけますか? 神父さま、調合室をお借りしても?」
「それは構いませんが、誰か人を付けましょう」
「いえ、その必要はありません」
「ですが……」
 素性の知れない、しかも男性と二人きりになるのを心配してくれているのだろうが、エレインはそれを丁寧に断って男性を調合室へと案内した。

 調合室は、礼拝堂の奥にある小部屋を改修して作ったハーブのブレンド専用部屋だ。
 ここでは、毎週土曜日に体調不良を訴える民の、一人ひとりに合わせたブレンドを行っていた。ただ、先ほど神父が言っていたように、需要に供給が追いついておらず、今は以前から継続的に利用していいる症状の重い人でかつ薬を買えない貧しい人にだけ提供しているため、こうして新規のしかも見るからに裕福そうな人からの依頼はすべて断っていた。
「では、ハーブを必要とされている方の性別、年齢、身長、体重、困っている症状についてお聞かせください」
 前置きもなくそう聞かれ、男性は目を丸くした。
「失礼……、名乗るのを失念していました、私は、」
「ここでは名乗る必要はございません」
 男性はエレインをじっと見つめ、静かにうなずいた後、質問に答え出した。
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