用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
「エレイン、かなしいの?」
 テオの小さな手が、エレインの頭を優しく撫でる。それをアランが見つめて、「大丈夫だよ」と優しく言う。
「その涙は、喜んでくれた証拠として受け取っていいのかな?」
 キラキラしていて、温かい思いが涙になって溢れ出る。嗚咽で声が出せなくて、うんうんと頷いて見せるので精いっぱいだった。
 だけど、悲しい現実が待ち受けていることを忘れたわけではない。
「ですが……」
「ん?」
「私はもう……ここを離れなければなりません」
「それは、テオの契約が終わったから?」
 涙を手で拭いながら頷くと、アランは眉尻を下げて困ったような笑みになる。
「ずっとここにいればいい」
「理由が……ありません」
 テオのことがあったからここで一緒に暮らしていただけで、ハーブを作るだけならここに住まなくたってなんら問題はないのだから。
「……俺では、きみの“理由”にはなれない?」
「それは……どういう……」
「きみが好きなんだ、エレイン。もうずっと前から」
 アランの言葉が、エレインの胸を突く。
(殿下が、私を……好き?)
 信じがたいその言葉が頭の中をぐるぐると回るだけで、理解が追い付かない。
(あ……好きっていうのは、人としてで……特別な理由があるわけないわ……)
 そう結論づけるも、それはアランによって覆される。
「俺もテオも、きみと離れるなんてもう無理なんだ。だから、俺たちをきみの家族にしてほしい」
(家族……、私が、殿下とテオさまの……)
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