用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
*
一日の仕事を終えてエレインが家に帰ったのは、とっぷりと日が暮れた後。家族はすでに食事を終えて、自室に戻った様子でほっとする。
こんなに疲れて帰って、彼らの嫌味に付き合わされるのはほとほとごめんだ。
「じゃぁ、ニコルもゆっくり休んで。おやすみ」
「おやすみなさい」
料理長が厨房に隠しておいてくれた夕食をニコルと一緒に食べ、解散となった。
しかし、自室のある二階に上がると、物音を聞きつけたのか、燭台を手にした父が待ち伏せていて身構える。
「エレイン、今日の王太子殿下とのお茶会に貧相な恰好で行ったそうじゃないか。一体なにを考えておる!」
わなわなと体を震わせて怒りを露わに、父は怒鳴った。
ともすれば手にしている燭台を投げつけんばかりの怒声に、エレインは心臓が縮こまる。
「も、申し訳ございません……、道中で馬車が脱輪してしまい」
「言い訳など聞いておらん! それに、せっかく殿下が指輪を贈るとお申し出くださったというのに、断って殿下に恥をかかせるなど言語道断! 不敬罪に問われてもおかしくないぞ! ったく、シェリーが機転を利かせてくれたおかげで機嫌は直ったらしいが……お前だけだったらどうなっていたことか。フォントネル家もろとも追放されていてもおかしくない事態だぞ」
確かに、汚い身なりで同席したのはエレインの落ち度だし、指輪を贈るといった殿下の気持ちを無下にしたのもエレインだ。しかし、前者は不測の事態だったし、後者は王太子の婚約者として、国民から集めた税金で贅沢な宝飾品を買うという愚行は避けるべきだと考えたからだった。
というようなことを述べたところで、父の気が済むわけがないので、エレインは「申し訳ございませんでした」と謝罪するにとどめる。
「もぉ~お父さまぁ~。お父さまの声で目が覚めてしまいましたわぁ」
いつの間にか現れたシェリーが、甘えた声で父にすり寄る。シルクの質のよい夜着を身に着け、ピンクブロンドの髪をなびかせて。エレインは、今までシルクの夜着を買ってもらったことはない。
一日の仕事を終えてエレインが家に帰ったのは、とっぷりと日が暮れた後。家族はすでに食事を終えて、自室に戻った様子でほっとする。
こんなに疲れて帰って、彼らの嫌味に付き合わされるのはほとほとごめんだ。
「じゃぁ、ニコルもゆっくり休んで。おやすみ」
「おやすみなさい」
料理長が厨房に隠しておいてくれた夕食をニコルと一緒に食べ、解散となった。
しかし、自室のある二階に上がると、物音を聞きつけたのか、燭台を手にした父が待ち伏せていて身構える。
「エレイン、今日の王太子殿下とのお茶会に貧相な恰好で行ったそうじゃないか。一体なにを考えておる!」
わなわなと体を震わせて怒りを露わに、父は怒鳴った。
ともすれば手にしている燭台を投げつけんばかりの怒声に、エレインは心臓が縮こまる。
「も、申し訳ございません……、道中で馬車が脱輪してしまい」
「言い訳など聞いておらん! それに、せっかく殿下が指輪を贈るとお申し出くださったというのに、断って殿下に恥をかかせるなど言語道断! 不敬罪に問われてもおかしくないぞ! ったく、シェリーが機転を利かせてくれたおかげで機嫌は直ったらしいが……お前だけだったらどうなっていたことか。フォントネル家もろとも追放されていてもおかしくない事態だぞ」
確かに、汚い身なりで同席したのはエレインの落ち度だし、指輪を贈るといった殿下の気持ちを無下にしたのもエレインだ。しかし、前者は不測の事態だったし、後者は王太子の婚約者として、国民から集めた税金で贅沢な宝飾品を買うという愚行は避けるべきだと考えたからだった。
というようなことを述べたところで、父の気が済むわけがないので、エレインは「申し訳ございませんでした」と謝罪するにとどめる。
「もぉ~お父さまぁ~。お父さまの声で目が覚めてしまいましたわぁ」
いつの間にか現れたシェリーが、甘えた声で父にすり寄る。シルクの質のよい夜着を身に着け、ピンクブロンドの髪をなびかせて。エレインは、今までシルクの夜着を買ってもらったことはない。