用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
 ――ふわふわさん。
 それは、エレインだけに見える光。
 金色や水色、桃色、緑色など、色とりどりの小さな光が、意志をもってふわふわと漂っていることから、子どもの頃からそう呼んでいる。
 その正体は【精霊】なのだと、物心ついた頃に母から教わった。
『いいですか、エレイン。このことは、母さま以外、誰にも言ってはいけませんよ』
『はい、お母さま。約束します』
 母との約束を、エレインは今もちゃんと守っている。
 精霊は、自然のある所に多く浮遊していて、人の多いところにはあまりいない。
 言葉は発しないものの、明滅したり、忙しなく飛び回ったりと、動きでこちらになにかを訴えてくるくらいには、感情が見て取れる。
 精霊は人の善し悪しも見分けられるのか、悪い心や醜い心を持った人間には基本近づかない。そして、優しい人や善意を持った人には好んで近づく習性がある。
 今日、男性と教会で出会ったとき、エレインの周りにいた精霊たちがとても嬉しそうに彼に近づいていった。自分以外にあんなに人に懐く彼らを、エレインはこれまで母以外に見たことがなくて驚いた。
「あの人のことそんなに気に入ったの?」
 問いかけに、精霊たちはふわふわと踊るように舞う。喜んでいるようだ。
「そうなのね。確かに家族思いの優しい人だったわ」
< 22 / 150 >

この作品をシェア

pagetop