用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~


 その日の午後は、なにをするにも上の空になり、ニコルから何度も注意されながら一日の仕事を終えようとしていた。
 突然の恋心の自覚と同時に失恋してしまったエレインは、さまざまな感情がない交ぜになり気持ちのコントロールができないでいた。
(考えないようにしようと思えば思うほど考えてしまうわ……)
 身の程知らずの恋心は捨てなければいけないのに、アランの顔が頭から離れてくれない。
 昼食もほとんど喉を通らず、ニコルに懇願されてサラダを一口二口食べるのがやっとだった。
 食後にはテオと散歩をして、お昼寝まで見届けたエレインは、そのまま王宮のハーブ園を見回り、アトリエで出来上がった製品の確認を済ませて王宮に戻ろうとしたときだった。
「じゃぁ、エクトルさん、後をお願いしますね」
「はい、かしこまりました」
(あ、いけない……)
 そう思ったときには視界がぐわんと歪み、とっさに椅子に手をつくもバランスを失って椅子共々床に倒れ込んでしまう。
 ――ガタンッ
「エレインさま!」
 エクトルの焦った声を耳にしながらも、体は言うことを聞いてくれず、視界はどんどん狭まってとうとう暗転したのだった。
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