ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
「その顔、どうされたんです?どこかで陽に当たってきました?」
ライナスが軽口をたたくと、セドリックは小さく睨むような視線を向けてきたが――その目も、どこか緩い。
「……いや。想像していたより破壊力があっただけだ」
「……はぁ?」
目を瞬かせるライナスに、セドリックは思い出したように書類を一枚めくりながら淡々と告げた。
「こっちの話だ」
それ以上なにも語らず、目を伏せてペンを走らせる宰相の姿。
しかしライナスは、微妙に残るその耳先の赤みとわずかに緩んだ口元に目をとめると、ほんの僅かだけ目を細めた。
(……まったく。お年頃の青年か何かですか、あなたは)
心の中で深くため息をつきつつ、ライナスは机の端にそっと資料を置いた。
「アリア嬢は?もう帰したんですか?」
「ああ、一日疲れただろうからな」
アリアの名前が出た途端、いつもの仏頂面の中に視察の疲労よりもどこか満たされた気配が滲む。
「一日荷物持ちに付き合わせるなんて酷なことをしますね」
「そうでもない。終始元気でいつも通りだった。よく動き、よく気づき、よく……笑っていた」
そしてふと、走らせていたペンを止める。
「あと、よくしゃべる」
呆れたような言い草なのに、妙に機嫌がよさそうな声だった。
分かりやすい人だ、とライナスは思う。
(まったく、どちらがよくしゃべっていたのやら)
心の中で皮肉めいた笑みを浮かべながら、ライナスはさらに水を向けた。
「なるほど。それは確かに視察の成果としては充分かと」
軽く肩を竦めながら返すと、案の定鋭い視線が飛んできた。
「余計なことを言うな」
「心得ておりますよ」
ふ、と短く笑いが漏れたその刹那、空気が切り替わる。
「それで、偽の硬貨の件は?」
ライナスが軽口をたたくと、セドリックは小さく睨むような視線を向けてきたが――その目も、どこか緩い。
「……いや。想像していたより破壊力があっただけだ」
「……はぁ?」
目を瞬かせるライナスに、セドリックは思い出したように書類を一枚めくりながら淡々と告げた。
「こっちの話だ」
それ以上なにも語らず、目を伏せてペンを走らせる宰相の姿。
しかしライナスは、微妙に残るその耳先の赤みとわずかに緩んだ口元に目をとめると、ほんの僅かだけ目を細めた。
(……まったく。お年頃の青年か何かですか、あなたは)
心の中で深くため息をつきつつ、ライナスは机の端にそっと資料を置いた。
「アリア嬢は?もう帰したんですか?」
「ああ、一日疲れただろうからな」
アリアの名前が出た途端、いつもの仏頂面の中に視察の疲労よりもどこか満たされた気配が滲む。
「一日荷物持ちに付き合わせるなんて酷なことをしますね」
「そうでもない。終始元気でいつも通りだった。よく動き、よく気づき、よく……笑っていた」
そしてふと、走らせていたペンを止める。
「あと、よくしゃべる」
呆れたような言い草なのに、妙に機嫌がよさそうな声だった。
分かりやすい人だ、とライナスは思う。
(まったく、どちらがよくしゃべっていたのやら)
心の中で皮肉めいた笑みを浮かべながら、ライナスはさらに水を向けた。
「なるほど。それは確かに視察の成果としては充分かと」
軽く肩を竦めながら返すと、案の定鋭い視線が飛んできた。
「余計なことを言うな」
「心得ておりますよ」
ふ、と短く笑いが漏れたその刹那、空気が切り替わる。
「それで、偽の硬貨の件は?」