ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
「アリアってばニヤけてる~、昨日絶対になんかあったでしょ!」

 背後から面白そうに茶化してきたのは同室のメイド仲間・ロレッタだった。一足先に支度を終えていた彼女は、アリアの頬の緩みに目ざとく指摘する。

「えっ、ニヤけてなんか……っ!」

「それどうしたの?そんな高そうなやつ自分で買わないよね?ってことは、一緒に視察に行ったあの宰相様から??」

「ち、違っ、これはっ、別にっ……!!」

「はいはい隠してもお見通しよ~?でも宰相様って普段はめっちゃ冷徹って感じなのに、スイーツ用意したりプレゼントくれたりアリアには優しくない?」

 勘の鋭いロレッタがぐいぐいと踏み込んでくる。

「で、アリアはどう思ってるの?好きなの??」

「なっ、ななっ……!?!?」

「隠してもバレてるって。恋する乙女の顔してるもん」

 そのものズバリな一言が放たれて、アリアは二の句が継げなくなる。
 ロレッタはその様子を面白そうに見やってから、頑張んなさいよ~?とひらひらと手を振って部屋を後にした。

 残されたアリアは、両手で自分の真っ赤な顔を覆って小さく呻いた。

(…違う、違うはずなのに……)

 でも、否定しようとするほど胸の奥がちくりと痛む。

 昨日、あの人の手が自分の髪に触れた感触。
 君には銀が似合う――そう囁いた低い声。

 あんなの、どうしたって忘れられるはずがなかった。

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