ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
 ロレッタの言う通り、自分はあの人に恋をしてしまっているのかもしれない。

 でも。

「……ダメ、だよね……」

 ぽつりとこぼれた言葉は、自分に向けたもの。

(私はただのメイドで、あの人は王国を支える宰相……身分も立場も何もかもが違う)

 そうだ、自分がいま本当に守りたいものは――

「ミカエル殿下とエレナ様の幸せ!!」

 アリアははっきりと言葉にした。
 強く、自分を縛るように。

「それが最優先!それさえ叶えば私は……!」

 その場で燃え尽きたっていい。

 少し前までは本気でそう思っていた。
 それが五回目の人生を得た使命だと信じて疑わなかったし、今でもそうだと思い込もうとしてぎゅっと手に力を込める。

(……それでも、やっぱり)

 その柔らかな光を見るたびに、どうしようもなく胸の奥が温かくも切ない熱を帯びてしまう。
 それは、嘘のつけない気持ち。

 まだ名前を付けることは許されない、小さな想いのかけらだった。


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