ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
(この書式……!)

「……エレナ様。この手紙……差出人に心当たりは?」

「いいえ…でもこの文字マルタユ帝国のものよね?私、少し言語学の勉強をしていたから見たことがあるの。ただ文法までは分からないけれど…」

 見慣れない文字で書かれた文面。
 それだけじゃない、署名や日付のレイアウトや表記、独特なピリオドの打ち方。そして端に押された印。

 これは四度目のループで一度だけ目にしたことのある、他国――今は断交状態にあるマルタユ帝国の外交書式だった。

(四回目のときは、この書簡が証拠となってエレナ様が『他国のスパイ』と断じられた……)

『王族および準ずる者宛の郵便物は、管理台帳に記帳されている』

 ラヴィニア侯爵家からの招待状を探していたとき、ライナスからそう教えられた。つまり、この手紙もすでに『クラヴィス嬢宛の書簡』として、記録されている可能性が高い。
 もしこれが公式に記録されていたらまずいことになる。

「……すみません少し確認したいことがっ、また改めてお話に来ます!」

 丁寧に頭を下げると、アリアはスカートを翻して部屋を飛び出した。

 向かうは王政の中枢、宰相執務室。


(セドリック様かライナスさん……早く、誰かに相談しないと……!)


< 110 / 167 >

この作品をシェア

pagetop