ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
「当時の国王はまだ即位から間もなく、王宮内での権威も固まりきっていなかった。そんな中で王政そのものが揺らぐ事態になれば……敵国につけ入る隙を与えると判断されたんだろう」

「……でも、それでもクラヴィス家は、ルガード家を告発したんですよね……?」

「だが、緘口令(かんこうれい)が敷かれていたとしても不思議じゃない。王政と貴族社会の均衡を崩さないために、記録を封じすべてを内々で処理する。
 鉱山はすぐに閉鎖されて一帯は立ち入り禁止、徴用されていた人々も別の区域への移住を促したようだしな」

 セドリックは手にした資料をそっと閉じ、静かに息を吐いた。

 それが五十年前という過去に刻まれた王宮の選択。
 フェルディア王国の記録から消されたルガード家が、五十年の時を経て、剥奪された紋章を刻んだ偽硬貨をばらまいている。

 ルガード家は――生きている。
 今も王政の中枢や告発したクラヴィス家を、エレナを狙っているのだとしたら……?

 アリアの背中に、ぞわりと背筋に冷たいものが走った瞬間だった。


 静かな地下書庫にバタバタと慌ただしい走る足音が近づき、確実にこちらに向かってきていた。

 そして、地下書庫の扉が開け放たれると、衛兵たちがなだれ込んでくる。
 彼らは一斉にアリアたちを取り囲むようにして、(スピア)を突きつけた。

「……これはいったい何の真似だ、近衛騎士隊長殿」

 次に発せられた言葉に、アリアは凍りついた。


「セドリック・グレイヴナー第一宰相、貴殿を国家反逆の罪で拘束する」


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