ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
「すべては俺の指示だ。記録保全区画の立ち入りも、俺の独断で行動した。彼女は俺の命令に従っていただけだ。
 ()()()()()()に過ぎぬ彼女に、国政を揺るがすような意図があるはずもない」

「ですが第一宰相、彼女はあなたと共に行動を、」

「メイドの身分で逆らえなかっただけだ。宰相命令を断れば不敬罪に問われかねないからな」

(違う…私が自分から知りたいと望んだ。自分の意志で調査に同行したのに…)

 アリアの胸がつき上げられたように痛んだ。
 ふと顔を上げると、隣りのセドリックが、まっすぐにアリアを見つめていた。

「君はただのメイドだ……そうだろう?」

 その言葉に、アリアの喉が詰まった。

『ただのメイドだとは思えない』
『君はただのメイドではなさそうだからな。その勘の良さが何か役立つかもしれない』

(…いつだってずっと、私を『ただのメイドじゃない』って言ってくれてたのに……)

 それでも―――セドリックが自分を庇っていることくらい、アリアには分かった。

 『ただのメイド』でいさせてくれる。
 どこまでも残酷で、優しすぎる言葉なのだと。痛いほどに。

 こらえきれない涙が、一筋頬から零れ落ちる。

「……はい」

 震える声で絞り出すように、アリアは頷いた。


「私は……ただのメイドです」


 その瞬間、蒼玉色の瞳がほんのわずかに和らいだように見えたのは、アリアだけだった。

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