ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
27.らしくない
 使用人棟の二人部屋。その一室はいつもより静かだった。

 ベッドに伏せたまま動かないアリアのもとに、部屋に戻ってきた同室のロレッタが腰を下ろす。

「……アリア」

 ロレッタが震えるアリアの背中を慰めるようにそっと撫でる。優しく名前を呼ばれるだけで、張りつめていたものが溢れるように、またとめどなく涙がこぼれた。

 第一宰相、セドリック・グレイヴナーが――国家反逆の疑いで拘束された。

 王政に背き国家転覆を狙ったらしい、との噂はあっという間に王宮中を駆け巡った。いまのところ対外的には伏せられているが、王都にその知らせが届くのも時間の問題だろう。そして王国中に広がっていく。

 アリアは、なんとか監察局の拘束は逃れた。
 セドリックがかばってくれたからだ。

『君はただのメイドだ。そうだろう?』

 その言葉で、アリアを守ってくれた。そのことがずっと胸に突き刺さっている。

 結果として、アリアは使用人部屋に戻され、無期謹慎を言い渡された。部屋から出ることは許されず、事実上の軟禁状態だ。

 エレナも同じように、自室で身動きが取れないでいる。王太子殿下の婚約者という立場上、拘束こそされていないが、誰も近づけずミカエル王太子殿下でさえ距離を置かざるをえない。それほどに、マルタユ帝国との内通を示す手紙のインパクトは大きかった。

(……また、何も守れなかった)

 このままだと、四回目(ぜんかい)と同じ展開になってしまう。

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