ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
 * * *


 アリアはいったんライナスと別れた。
 そして夜の王宮を急いで駆け抜けると、南の端にある物品保管庫へとたどり着いた。

 ここは王宮の中でもほとんど誰も足を踏み入れない、いわば不用品の吹き溜まりだった。

 壊れた食器、年代の分からない家具、誰のものかも知れない古びた衣装――処分保留と名のつく曖昧な理由のもと、ただ積まれて忘れ去られていく品々。

 倉庫担当の雑用係が積まれた不用品を棚卸して、そしてまたすぐに次の不用品が積み上がっていく、そういう場所だ。

(でも、あれだけは不用品じゃなかったんだ……)

 アリアは胸の鼓動を感じながら、広い倉庫の中へと足を踏み入れた。
 記憶を頼りに、埃と沈黙に満ちた迷路を進んでいく。

(……あった……これだ…!)

 棚の上に手を伸ばしてかすかに触れた、ざらりとした感触。
 白い布をかぶせられたまま、誰にも気づかれずにあのときから眠り続けていた箱。

 アリアは両手でそっとその箱を棚から下ろした。
 そして、あのときのように錆びついた留め金を開ける。

 裏返したその箱には、焼印のように紋章が刻まれていた。

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