ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
(え、ちょっと待って、もしかして『私が仕掛けた』って疑われてる…!?自作自演とか!?)

 アリアは顔中の筋肉を総動員してごく自然な微笑みを作りながらも、内心では冷や汗が噴き出す勢いでパニック中だった。

(違うんですけど!むしろ推しカプのために奮闘しているだけなんですけど~~!?)

「たまたまなんです……!本当に、たまたま……!」

 ほぼ反射的にそう叫んだ。
 セドリックは無表情のままだったが、目元の奥にわずかな笑みが浮かべる。

「……ふむ」

 彼はほんの一拍だけ間を置き、興味深そうに小さく息をつく。

「本当にたまたまなのだとしたら君の目は相当に良い。あの細工を即座に見抜けたとなれば、ただの偶然では済まされない精度だ」

「え、ええと……ほ、褒められているのでしょうか……?」

「もちろん。君はなかなか……面白い」

 その声はどこか楽しげで、アリアの背中に再び悪寒が走った。全力で後ずさりしたい衝動をなんとか抑えていたそのとき。

 ふいに風が吹き抜けて、視線をさらわれた。

 中庭のそよ風に揺れる花々の中で、ひときわ眩しい存在が目に入る。

 ミカエル王太子殿下と、エレナ嬢。

 殿下が自然な所作で彼女の手を取って、自分のほうへと引き寄せる。
 肩を寄せ合いながら、殿下が何かを囁く。するとエレナが顔を赤らめながら小さく頷くと、柔らかく微笑み返して――

「あぁぁああ……尊い……!!あの角度…あの空気感……!!」

(よかったぁぁぁぁ!なんか今回いい雰囲気になるの早くない!?ちゃんと恋愛ルートに入ってるし、これはいける……!!)

 恍惚とした眼差しを二人に向けているアリアに対して、セドリックは完全に取り残されていた。

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