ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
 アリアの反応にセドリックがわずかに眉を上げた。

「何か不満か?君の推し活を正式な職務にするようなものだ」

「いやいや待ってください、そんなことのために!?」
 
「そんなこと?国家の安定のために、二人の仲が順調に進むか否かは重要な事柄だろう?それを日々観察し、適切な報告を行う君の存在は極めて有用だ」

(真面目な顔で何言ってるのこの人……!?!?)

 冗談だと思いたかった。心からそう願った。
 けれどセドリックの顔は至って真剣で、ツッコミを入れる余地など一ミリもなかった。

「明日から毎日、午後の休憩時間にこの執務室へ来て報告するように」

 有無を言わさない圧に、アリアは完全に飲まれていた。

 相変わらず一方的なペースにもはや口を挟む隙がないことを悟る――というか、押し切られた。
 宰相閣下からの命令に、一介のメイドがノーと言えるはずもないのだから。

 アリアはぐらりと崩れそうになる体勢を何とか立て直す。

「……分かりました。できる範囲で報告させていただきます」

「うん、それでいい。助かるよ」

 セドリックは初めて満足げに頷いた。

 綺麗な青玉色の瞳は、どこまでも理知的で冷静で。
 けれど、その奥にあるわずかな光にアリアは気づいていなかった。

 それが、明らかに熱を帯びた色をしていることに。


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