ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
「いや~、今日の私ってばけっこういい働きだった気がする!」

 達成感に満ちた顔で、アリアは足取りも軽く長い回廊を歩く。
 まだ空に少しだけ残る夕焼けの朱色が、石壁の装飾をほんのり染めていた。

(っていうかこれで最終回でいいんじゃない?エレナ様が幸せで殿下ともいい雰囲気で、世界も平和で!!)

「この世界、幸せエンド確定だったりして」

 自分で言っておいて、アリアは笑みがこぼれる。

 だがそのときだった。

(…………あれ?)

 ふと立ち止まり、首を傾げる。

「なにか…………忘れてるような……?」

 その瞬間、アリアの顔が一瞬で凍りついた。


「…………あぁああああああっっ!!!!!」


 悲鳴にも似た絶叫が、長い廊下に響く。

 アリアは気づいてしまった。
 宰相セドリック・グレイヴナーへの『午後の観察報告』を盛大にすっぽかしたことを。

 アリアは慌てて身をひるがえすと、全力で逆走し始めた。

(宰相相手にドタキャンなんて前代未聞……!これじゃ私のメイド人生が最終回になっちゃう…!!)


 * * *


 そのころ宰相執務室では、セドリックがゆっくりと紅茶のカップを傾けていた。

「……さて、どれだけ遅れて来るか見ものだな」

 その目はどこまでも冷静で、けれどほんの少し楽しげでもあった。

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