ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
(な、なんでこんなに心臓がうるさいの!?荷物持ち任務なはずなのに……!)

「どうかしたか?」

「えっ!?あ、あのっ、膝が当たって……っ!」

「馬車の中なんだから仕方ないだろう」

「~~っ、閣下の足が無駄に長すぎるせいです!」

「それは誉め言葉として受け取っておこう」

 思わず口走ったアリアの言葉にも、セドリックは面白そうに返すだけだった。

 アリアは背筋をしゃんと伸ばしてみたり、膝をくっつけて座り直してみたり、無駄に手元のスカートを整えてみたりと落ち着かない。

(だ、だめ!意識しない!しないからっ!!)

「落ち着かないのか?」

「そんなことありません、これが通常運転です…!」

「君は通常時から落ち着きがないんだな」

 そんなやりとりの中、馬車は王都の石畳の急な段差に差しかかった。

 ――ガタン!

 馬車が石畳の段差を踏み車体が大きく揺れた。

「きゃっ……!」

 不意の衝撃に、バランスを崩したアリアの体がぐらりと傾く。
 正面のセドリックへとそのまま倒れ込むように。

「――あっ!」

 体勢を整えようとするも間に合わない。
 衝撃に備えてぎゅっと目を(つむ)ると、ほんの一拍、ふわりと浮かんだ気がした。

「……無事か?」

 気づけば、セドリックの腕にしっかりと支えられていた。

 右手で肩を、左手で背を。
 しっかりと柔らかく、アリアの体をまるごと包み込むように。

「っ……!」


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