ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
18.偽の硬貨
昼食を挟んで午後も視察は続いた。
日差しが雲に遮ぎられ始めたにもかかわらず、南市街はますます熱気を帯びていた。行き交う人々の活気が空気を押し上げるかのように五感をくすぐる。
「この辺りは道も細くて入り組んでいる。警護の人間もいるが、迷子になるなよ」
セドリックがぴたりと隣りに並んで低く声をかける。
「もう、大丈夫ですよ!」
にっこりと胸を張るアリアにセドリックが小さく微笑んだとき、通りの一角から声が飛んできた。
「宰相様!ちょっと聞いてくださいよ!」
振り向けば、屋台を構える初老の男が手を挙げながら駆け寄ってきた。
「最近、この辺りで妙な硬貨が出回ってるんです」
「妙な?」
立ち止まったセドリックに、男は懐から一枚の硬貨を取り出して見せた。一見すると王国に流通している正規通貨のようで、表面には見慣れた数字の刻印が施されている。
「……裏が違うな」
セドリックの声が、ふっと低く落ちた。
王宮貨幣局の正式な紋章の上から、まるで重ねるかのように見たことのない異なる意匠が刻まれている。まるで、塗りつぶすかのように。
日差しが雲に遮ぎられ始めたにもかかわらず、南市街はますます熱気を帯びていた。行き交う人々の活気が空気を押し上げるかのように五感をくすぐる。
「この辺りは道も細くて入り組んでいる。警護の人間もいるが、迷子になるなよ」
セドリックがぴたりと隣りに並んで低く声をかける。
「もう、大丈夫ですよ!」
にっこりと胸を張るアリアにセドリックが小さく微笑んだとき、通りの一角から声が飛んできた。
「宰相様!ちょっと聞いてくださいよ!」
振り向けば、屋台を構える初老の男が手を挙げながら駆け寄ってきた。
「最近、この辺りで妙な硬貨が出回ってるんです」
「妙な?」
立ち止まったセドリックに、男は懐から一枚の硬貨を取り出して見せた。一見すると王国に流通している正規通貨のようで、表面には見慣れた数字の刻印が施されている。
「……裏が違うな」
セドリックの声が、ふっと低く落ちた。
王宮貨幣局の正式な紋章の上から、まるで重ねるかのように見たことのない異なる意匠が刻まれている。まるで、塗りつぶすかのように。