ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
 低く揶揄するように言いながらも、意外にも問い詰めるような気配はなかった。
 むしろアリアの持つ()()を、もはや必然として受け入れているかのような、そんな空気だった。

(……どうして、そんなふうに)

 アリアはどう反応していいか分からずに、手の中の硬貨に目線を戻す。

(刻印された紋章が同じ…ということは、毒針事件も偽の硬貨も裏で繋がっている…?)

 あの紋章、ずっとどこかで見たことがあるような気がしていた。
 でも思い出せない。いつだったんだろう。何度のループで?どこで見たのだろうか。

 それが分かれば、もっと真相に近づける。

(そうしたら、もっとこの人の役に立てるかもしれないのに……)

 そこまで考えて、アリアはふと自分の中に生まれた感情に気がついた。

(……あれ?)

 ――セドリックの役に立ちたい。

 それはただの使命感とは違っていた。
 殿下とエレナ様のために、王国の未来のために。それも嘘じゃないけれど。

 いま浮かんだその思いはもっとずっと個人的で、もっとずっと彼だけを見つめていた。

< 87 / 167 >

この作品をシェア

pagetop