ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
 繊細な花と蔓のような模様が細やかに彫り込まれ、光を受けるたびに柔らかい光を帯びて反射する。
 派手すぎないけれどどこか目を惹く、上品のある美しさだった。

「今日の視察に付き合ってくれた礼だ。受け取れ」

「っ……え、ええええ!?こ、こんな綺麗なの、私にはっ……!」

 パニックになったアリアは思わず両手をぶんぶんと振ってしまう。
 そんな様子を見て、セドリックは小さく肩を揺らした。

「そう言うと思った」

 淡々とした声音なのに、どこか楽しそうだ。

「お礼なら飴細工を買ってもらいましたし!」

 必死に断ろうとするアリアに、そんな抵抗など最初から計算済みだと言わんばかりに一歩、間合いを詰める。

「これは俺からの個人的な贈り物だ」

「っ……!?」

(こ、個人的ってそんな……)

 どうしたらいいのか分からない。
 ただ頬に、みるみると熱が昇っていく。

 困ったようにアリアは視線を彷徨わせたけれど、セドリックはそれを逃がさなかった。

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