ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
「君には華美なものより、こういうシンプルで繊細なもののほうが似合うと思った。これなら職務中でも付けられるだろう?」

「む、無理ですよ!こんな高価なものをメイドがつけてたら目立ちますってば!それに、こういう綺麗なものは…」

 自分なんかよりもっと似合う人が身につけるべきものだ、とアリアは思う。

(そう、例えばエレナ様みたいな…!!あんなふうに素敵で気品とオーラに溢れた人が似合うはずで、私なんかじゃ…)

 目を伏せるアリアをセドリックはしばらく黙って見つめてから、ため息をついた。

「じゃあ目立たないところにつけてやる。貸してみろ」

「へっ?」

 言葉の意味を理解するより先に、セドリックはアリアの背後へと回り込んでいた。

「ちょ、ちょっと!?」

「じっとしていろ」

 従うしかないその声音に、アリアはぎこちなく動きを止める。

 一つにまとめられた髪の下、あまり外から目立たない位置へと銀の髪飾りが差し込まれる。
 カチリと小さな音を立てて髪飾りが留まった瞬間、かすかな指先の温もりがうなじを掠めて背筋がぴくりと震えた。

 肩越しに伝わる体温。
 あまりに近い距離に、緊張で肩がこわばってしまう。

「やっぱり、君には銀が似合う」

 耳元に落とされた声に、空気が一瞬止まった気がした。

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